ジョージアの「秘境」?メスティアはこんなところだった!その②
みなさんガマルジョバ
[「復讐の塔」と言われているけど本当か??]
乳搾り失敗で終わった初日から一夜明け、メスティア滞在二日目は周辺の
散策をするついでにChalaad Glacierチャラード氷河渓谷を見に行くことにしました。
と、その前に...
スヴァネティ地方のシンボル的存在の「塔」に関して少しお伝えしようと思います。
本当にこれらの塔が「復讐の塔」と呼ばれているのか不明なのでカッコを付けます。
ある日本の旅行サイトには塔に関して以下のような記述がありました👇
『9世紀頃スワネティ地方で始まった「血の掟」とは、自分の家族が殺されたり危害を受けた場合相手の一族に復讐できるという、やや血腥いもの。お互いの復讐の連鎖から身を守る場を確保するために、ウシュグリ近辺の村では家族毎に塔が建てられる事になりました。』
うーん....これが本当だとしたら自分にとってはめちゃくちゃ興味深い歴史だけど、
未だモヤモヤは解消されません。
しかし塔があるのに家族で英語がまともに喋れるひとがいません!
様々なジェスチャーでおじいちゃんに尋ねても埒が明かないため、堪り兼ねたのか
本棚から立派なメスティアの写真集を持ってきてくれました。
そこを読むと....👇
おいおいおいっ!
どこにも「血の掟」だの「一族への復讐」なんてことは書かれてないじゃないか!
時代も違うし、「見張り塔、望楼」として使用されていたと書かれています。
また上のスヴァネチ地方での文化や歴史、トレッキングに関する英語ページにも
塔に関しての記述がありました。要約すると「何か村を襲うような脅威が来た際には、塔から狼煙を上げたり、銃声で村全体に緊急を知らせる」という様に書かれています。
他の日本人旅ブログでは塔に関して旅行サイトと同じような説明が見られましたが、
どこから入手した情報なのか、その情報を精査したのかどうか問い質したいほど
疑問が残ります。
[氷河へ!]
さてこの日の目的は氷河渓谷へのトレッキング。
メスティアは既に標高が高い位置にありますが、周辺特にロシア国境間には3000m~5000m級の山々が連ね、夏季には世界中からトレッカーが集まってきます。
長野上高地の吊尾根に似ている山へ伸びる一本道を川ぞいにひたすら歩いていきます。
すると後ろから何台もの大型トラックがやってきます。
砂埃にまみれながら一体何の工事か建設をしているのだろうと思っていると、
ここの壮大な景色に似つかわしくない工事現場が見えてきました....
工事が村の端だけでなくトレッキングで進む同方向まで続いているように見え、
トラックだけでなくTOYOTAや三菱のピックアップトラックもぞろぞろと走っていきます。
ほう.......それならヒッチハイクが出来るかも、と楽チンしてしまおうと
考えた我々は道端に立っているとあっさりトラックに乗せてもらうことができました。
運転手はギリシャ人の監督職に就いているというオジさん。
一体何故ジョージアの山奥でこんな大規模な工事をしているのか尋ねると、
ロシア国境にある山脈から流れ出る川を利用し水力発電所の建設をしているとのこと。
Mestiachala HPP (Hydro Power Plant) 1&2 | Synergy
世界遺産に認定されても、開発と経済、カネの名の下に美しい自然が掘り返され景観が害されてるのを間近に見て、もうメスティアは「秘境」とは呼べないでしょう ...
結局このオジさんには氷河への登山口まで乗せてもらいました。
緑がまぶしい森の中を歩くこと30分、見えてきました谷間へ流れ込んでくるような氷河が!
足を進めドンドン近づいてきます。
ここまでそれほど多くのトレッカーには会いませんでしたが、
解け水が流れ出る氷河の切れ目の前でかなりの人が休憩などしていました。
上の写真はガレ場に見えますが、既に氷河の上にいます。
石を退けると下のように氷河がすぐ顔を出します。
そのため地面よりも足場が不安定なため、斜面は力を入れると表面だが滑り危険なため慎重に登ります。
安定した場所に腰を下ろし、コンロでお湯を沸かそうと、
持ってきた水をコッヘルに入れようとした時、自分はふと思ってしまいました。
氷河の解け水でコーヒー入れればいいじゃないか!!!!
こんな星野道夫のエッセイでしか想像したことがないことを実現できるなど
なんて自分は幸福かと、まさにここに感極まれりです。
早速、流れ出る解け水を周辺で探しコッヘルに注ぎ、ゴーゴーと火に掛けます。
朝食に食べきれなかったジョージアのコロッケとパンで昼食です。
背後には迫り来る氷河、足元にも石の隙間から氷河が光り、空は雲が流れるような速さで流れています。おかげで谷間全体が陰っていたと思ったら、突然陽光で一面が照らされ、遠くに見える山肌を覆う芝生や木々の緑が眩しいほどです。
太陽が山の向こう側に傾きかけて寒くなってきたためそろそろ撤収します。
氷河は遥か昔、降り積もった雪が何千何万年もかけて少しづつ大地の上を動き、
いずれは解け出し川となり、果ては海まで流れ出ます。自分は一体何年間分の
氷河の上を歩いたのか....そんなことを想いながら降りていきます。
途中、ウクライナ人若夫婦と旅情報について立ち話したり徐々に来た岩場と森を抜けていきます。
森の向こうから工事のトラックやガリガリと地面を掘る音が聞こえてくると、
残念な気分になってしまいますが、とにかく村へ戻ります...
家に戻るとここの肝っ玉母ちゃんたちが牛肉煮込みスープなど夕飯を用意して
待っていてくれました。
早速いただきます!
おじいちゃんは外作業から帰ってくるやすぐ「おうおうおうおうお前さんたち戻ったか」という感じでチャチャをお酌してくれます。
お酒と夕飯でお腹を満たした後、外に出てみると「吊尾根」に見える山々は
雲で隠れていました。
日が落ちても子豚たちは元気に足元を駆け回っていました....